地上を歩き、コンクリートを喰らい建物を破壊する「壊魚(かいぎょ)」。
10年前、人間を喰うはずのない壊魚に両親を丸呑みにされた青年・ジェイトルは、人喰い壊魚を引き連れていた謎の男を探し出し復讐するため、壊魚駆除の仕事を繰り返す日々を送っていた。
ある日、後輩のスピンと共に駆除をしていたジェイトルは、猛毒であるはずの壊魚の肉を生のまま貪り喰う奇妙な女と出会う。しかし女の不可解な行動に気を取られている隙に、突然人喰い壊魚が現れスピンが飲み込まれてしまう。
ひたすら壊魚を食いたい女は、手持ちの折り畳み傘を振り回し圧倒的なパワーで大量の壊魚を殴り殺す。結果として窮地に陥ったジェイトルを救ったものの、惜しくもスピンを襲った人喰い壊魚を逃してしまった。
両親に続いて後輩も失ったジェイトルは絶望感、守れなかった無力感に包まれる。
そんなジェイトルの心情などつゆ知らず、女は図々しくも助けたお礼に家に泊めろとついてくる。
女は身寄りも家もなくさらに記憶喪失で、路上で壊魚を食べながら生活しているとのこと。
この人間離れした女を監視すれば、人喰い壊魚を率いる男の情報に繋がるかもしれないと思いつつも、不気味な女を家に上げるには抵抗があり断るジェイトル。しかし同居人である叔母のミロメダに半ば強引に諭され、しばらく女を住まわせる流れになってしまう。
結局、今後の壊魚駆除に女が同行することで、ジェイトル側は素早く壊魚を片付けることができる上に、女は壊魚を容易く見つけて食べることができるという利害の一致の元、渋々同居を承諾することに。
ジェイトルは、折り畳み傘を武器に戦う女を「カサコ」と名付け、奇妙な生活がスタートする…。